日本酒、いろいろありますがどんなタイプがお好みでしょうか?
大吟醸酒、吟醸酒、純米酒、本醸造酒、普通酒、などお酒の造り方で分けてもほんとにたくさんあります。
そこからお好みのものを探そうとするのは、まさに宝探し。
自分で買おうとすると、どうしても冒険できずにいつものタイプを買ってしまう、ということになりがちかもしれません。
そんな中で今回は、神亀純米酒を取り上げます。
ところで純米酒とは?
純米酒とは、お米と米麹と水からのみで造られている日本酒。
味わいとしては、やわらかい口当たりで甘みを感じるものが多いです。
現在全国には、実は1,500以上の日本酒の蔵元があります。
北は北海道から南は宮崎まで、お米ができるところなら日本酒の蔵元がある、と言ってもよいでしょう。
その中で純米酒のみを造る蔵の数は思ったほどには多くありません。
というのは、製品として販売するまでに手間と時間がかかるので、商売上なかなか手が出せないところも多いようです。
そんな一大決心をして取り組むに値する純米酒造りに最初に取り組んだのが、埼玉県は蓮田市にある神亀酒造です。
神亀の純米酒のこと
だいぶ前置きが長くなりましたが、今回ご紹介するのは埼玉県蓮田市にある神亀酒造の造る「神亀 純米酒」です。
この蔵元は1987年、日本で初めて全てのお酒を純米酒に変えた蔵です。
もともと日本酒は、第二次世界大戦前は全て純米酒でした。
それが戦争中のお米不足などからだんだんと純米酒造りをする蔵が減っていきました。
それでも純米酒をつくり続けたところはありましたが、そこがどこの蔵元なのか、調べきれませんでした。
この神亀酒造の故小川原良征(よしまさ)専務は東京農大を卒業してまもないころ、市場に出回っていたアルコールや糖類で味を薄められた日本酒、いわばリキュールのようなものを造るのはいやだ!と思い立ち純米酒造りを復活。
数年後には全ての日本酒を純米酒として出荷する蔵になりました。
そこまでに至る経緯は血がにじむほどに大変だったそうですが、詳しくは上野敏彦さん著の「闘う純米酒」をお読みください。
神亀の純米酒がオススメの理由
この神亀酒造の造る純米酒、全て熟成させてから市場に出荷しています。
というのはできたばかりの日本酒は、飲みなれない人には特にアルコール分がピリピリとしていて飲み続けるのがつらくなることがあります。
この神亀酒造の純米酒は、日本酒は料理があってこそ、食事を引き立てて食事が楽しくなるのが純米酒だ、と考えている故小川原専務の考えがあり、それが反映され常温で数年間(2年から3年)熟成させてから出荷されています。
日本酒は色がなく透明だよね?と思っている方にはこの純米酒は驚きかもしれません。
というのはほんのりというか、お酒の色がうっすら山吹色をしているから。
なぜ山吹色をしているかというと、熟成させた結果色ずくのです。
決して古くなって色がついたわけではありませんのでご安心くださいね。
ちなみに、本来日本酒はほんのり黄金色をしていますが、無色透明な日本酒は活性炭(食用の活性炭素)で色をのぞいてあります。
神亀純米酒はどんなお料理に合う?
というわけで、熟成させた純米酒は食事を楽しむのにぴったりなお酒の1つです。
合わせるものは、味わいが濃厚でボリュームがあるので少し苦味のあるものや濃いめの料理と合わせやすいです。
例えば、イワシやアンチョビを使った料理。
イワシのフライ、イワシの梅煮、イワシの竜田揚げ、イワシのコロッケなど。
個人的にはイワシのコロッケがオススメです。
アンチョビなら、アンチョビポテト、エリンギとポテトのアンチョビソテー、アンチョビポテトサラダなど。
また意外にも、チーズも合います。
クセのあるブルーチーズ、カマンベール、ロックフォールなど。
神亀純米酒を飲むときのオススメの温度は?
この神亀純米酒、普通の温度(常温)で飲むのも良いですがなんと言っても温める、いわゆる燗酒にするとさらにうまくなります。
40度前後のぬる燗、50度前後の熱燗が特にオススメの温度です。
温かいお燗酒、これっていわば飲むお風呂、体の芯からときほぐされてほー、とリラックスできる最高の時間を提供してくれます。
またお燗にして冷めた頃もまた格別。
ふわっとして口の中でとけてなくなるような感じで、食事がそれこそ進みます。
神亀純米酒の詳しいことなど
原料米 美山錦・五百万石・山田錦60%精米
酸度 1.6、使用酵母 協会9号
熱燗◎ ぬる燗◎ 常温○ 冷や△
アルコール分15〜16度未満
精米歩合60%
日本酒度+5〜+6
酸度1.5 辛口
私とこの神亀純米酒の出会い
最後になりますが、私もこの神亀純米酒にハマった一人です。
実家に戻る前に酒屋の修行、いわゆる丁稚奉公をしました。
丁稚先は、地酒で有名な東京は西荻窪にある老舗のお酒屋さん。
2年間、そのお店でお世話になりましたが取引のある居酒屋さんでこの神亀純米酒が置いてありました。
仕事が終わったあと、大抵はこのお店で夕飯を食べていたのですが、そのときに飲んだこの神亀純米酒のお燗酒があまりにも体に染み込み、それ以来大ファンとなったのでした。